玄関やベランダに黒いパサパサした糞が落ちていたら、それはもしかするとコウモリのものかもしれません。
コウモリが家に住みつくと、屋根裏など見えない場所にもっと多くの糞が溜まっている可能性があります。コウモリの糞は健康に害を及ぼすので、速やかに駆除しなければいけません。コウモリは直接触ると危険なため、正しく駆除する必要があります。
この記事ではコウモリの正しい駆除方法についてまとめました。コウモリの駆除方法に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
コウモリの特徴
コウモリは空を飛べるので鳥類だと思われがちですが、実は哺乳類です。哺乳類の中で唯一、飛行できる動物として知られています。
コウモリの中でも家屋を住処とするのが、アブラコウモリです。家屋の屋根裏に巣をつくって住みつくため、イエコウモリとも呼ばれています。
アブラコウモリは、体長4~6cm、体重5g~20gと非常に小さく、体毛は黒い褐色や灰褐色をしているのが特徴です。コウモリは暗い山に生息するイメージをもたれていますが、アブラコウモリは山間部には生息しておらず、むしろ市街地を中心に夜間に活動しています。
アブラコウモリは家の屋根裏や軒下、換気口内、壁内といった場所に巣を作って住みつきます。屋根裏や軒下は雨風を防げるので、コウモリによって過ごしやすい環境のためです。さらにエサとなる蚊やユスリカ、ヨコバイなどが多い環境のため、そのまま住みついてしまいます。とても小さいのでわずかな隙間から家の中へと入り、被害を広げていきます。
わずかな隙間から家に侵入してしまうコウモリ。家に住みつくと、一体どんな被害が広がってしまうのでしょうか。ここでは、コウモリによる具体的な被害について3つまとめていきます。
1. 糞尿による悪臭
天井裏や軒下などに住みついたコウモリは、日中は巣で静かにしていることが多く、その場所で糞尿をします。コウモリが掃除するわけもなく糞はどんどん溜まっていき、やがてドブのような悪臭を放ちます。特に雨の日は悪臭が強くなり、臭いで体調を崩してしまう方も多いです。さらに木造であれば天井が糞尿を少しずつ吸収してしまい、シミとなってしまう場合があります。木材にシミができると腐りやすくなり、家の老朽化につながる恐れがあります。
2. 鳴き声・羽音による騒音
アブラコウモリの鳴き声は、通常は超音波のため聞こえることはありません。しかし危険が及ぶと「キーキー」と甲高い鳴き声を発することがあります。さらに飛んだり動き回ったりする時の羽音がうるさく、ストレスを感じる方が多いです。
コウモリは夜行性のため、人間が眠ろうとする夜に羽音の被害が最も大きくなります。数が多ければ多いほどうるさくなるため、睡眠障害などの健康被害につながってしまいます。
3. ダニや病原菌による被害
コウモリにはたくさんのダニが寄生しています。ダニが室内に侵入してしまうと、肌が露出している部分に吸血されます。ダニに噛まれた場所は赤く腫れて、強いかゆみを引き起こすため不快です。さらにコウモリの糞には数多くの菌がついています。菌が空気中に舞い散ると、ハンタウイルス感染症やヒトプラズマウイルスといった感染症を引き起こす恐れがあります。
コウモリを触ってはいけない理由
コウモリが家に入ってきたら、早く追い出したくなるでしょう。しかしコウモリに近寄ると飛びかかってくる恐れがあるので、そのまま近付いてはいけません。なぜならコウモリは素手で触ると危険なためです。
野生のコウモリには数多くの病原菌が付着しており、ヒストプラズマ症やエボラ出血熱といった恐ろしい感染症を媒介するといわれています。海外ではコウモリに噛まれたことで狂犬病を発症して死亡した例もあります。日本では犬にワクチン接種が義務付けられているため、1956年を最後に狂犬病は発生していません。そのため日本で狂犬病に感染するリスクは低いですが、他の感染症を予防するためにもコウモリを素手で触るのは避けましょう。
コウモリは殺処分が禁止されている
コウモリを駆除するために、害虫用のスプレーをまいて部屋に閉じ込めてしまえばいいと考える方がいるかもしれません。しかしコウモリは鳥獣保護法で保護されており、捕獲・殺傷が禁止されています。
鳥獣保護法とは、鳥獣の保護と狩猟について定めた法律です。コウモリは鳥獣保護法の対象に指定されているため、殺してしまうと1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。コウモリの被害に悩まされている方は理不尽に感じるかもしれませんが、コウモリが家に入っても殺傷しないようにしましょう。
ここまでコウモリは素手で触ったり殺したりしてはいけないことを説明しました。それでは、コウモリはどのように駆除すればよいのでしょうか。ここではコウモリの正しい駆除方法について解説します。
1. 住みついた場所を特定する
コウモリは天井裏や軒下に住むことが多いので、周辺に糞が落ちていないかを確認しましょう。コウモリの糞は黒色でパサパサしているのが特徴です。糞を見つけたらその近くに巣がある可能性が高いです。舞い散った糞を吸い込んだり触れたりしないために、マスクや手袋を装着して探しましょう。
2. 追い出す
場所を特定したらコウモリを追い出しましょう。換気扇や通気口など狭い場所には、忌避スプレーを撒くのが効果的です。天井裏や軒下など広い場所には、燻煙剤を使うのがおすすめです。2時間ほどで煙が隅々まで行き渡り、コウモリが逃げていくでしょう。
3. 侵入経路を防ぐ
家からコウモリを追い出したら、もう一度入ってこないように侵入経路を防ぐ必要があります。屋根や壁に亀裂が入っている場合は、シーリング材を使って隙間を埋めましょう。換気扇や通気口は空気を通す必要があるので、金網を使ってコウモリの侵入を防ぎましょう。網目の細かいものだと、他の害虫も侵入できないのでおすすめです。エアコン口などの隙間はパテで埋めるとよいでしょう。
4. 寄せ付けないようにする
忌避剤を定期的に撒いておくと、コウモリはその場所を住みにくい場所と判断して、寄ってこなくなります。子供やペットがいて忌避剤を撒くのが心配な方は、蚊取り線香やハッカスプレーを撒くのも有効です。またコウモリは超音波を頼りに飛んでいるので、超音波発生装置を設定すると寄せ付けない効果があります。